法人設立の定款作成方法と記載事項

法人設立の定款とは

 

定款は、法人設立時に作成が義務付けられている重要な文書です。会社の基本的な情報や運営ルールを定めるもので、「会社の憲法」とも呼ばれます。定款には、会社の商号（社名）、事業目的、本店所在地などの基本情報や、株式や機関設計に関する規定が記載されます。

 

法人設立時に定款を作成し、公証人の認証を受けることが必要です。定款は会社の根幹を定める文書であるため、慎重に作成する必要があります。

法人設立の定款の役割と重要性

定款の主な役割は以下の通りです：

1. 会社の基本情報の明示
2. 会社運営のルール設定
3. 対外的な会社の意思表示
4. 株主や役員の権利・義務の明確化

 

定款は会社の根本規則を定めるものであり、会社法上の要件を満たすだけでなく、将来の事業展開や組織変更なども見据えて作成することが重要です。

法人設立の定款の法的要件

会社法では、定款に記載すべき事項を以下のように定めています：

1. 絶対的記載事項：必ず記載しなければならない事項
2. 相対的記載事項：記載しないと効力が生じない事項
3. 任意的記載事項：会社が自由に定められる事項

 

絶対的記載事項には、商号、事業目的、本店所在地などが含まれます。これらの事項が欠けると、定款自体が無効となる可能性があります。

法人設立の定款の作成方法と注意点

定款の作成方法には、紙の定款と電子定款の2種類があります。

1. 紙の定款：
   
   
   
   • パソコンで作成し、印刷・製本
   • 4万円の収入印紙が必要

2. 電子定款：
   
   
   
   • PDFで作成し、電子署名を付与
   • 収入印紙代が不要

 

電子定款を選択する場合、電子署名のためのソフトや機器が必要になります。初めて会社を設立する場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

 

定款作成時の注意点：

• 法令に準拠していること
• 将来の事業展開を考慮すること
• 明確かつ具体的な表現を使用すること

法人設立の定款の認証手続き

定款の作成後は、公証人による認証を受ける必要があります。認証手続きの流れは以下の通りです：

1. 公証役場に連絡し、事前チェックを依頼
2. 公証役場への訪問日時を決定
3. 必要書類を準備（定款、印鑑証明書、身分証明書など）
4. 公証役場で認証を受け、定款謄本を受け取る

 

認証手続きにかかる費用は、紙の定款で約92,000円、電子定款で約52,000円です。電子定款の方が印紙代が不要なため、コスト面で有利です。

法人設立の定款における独自条項の検討

定款には、法定の記載事項以外にも、会社の特性や将来の展望に応じた独自の条項を盛り込むことができます。例えば：

• 株式譲渡制限条項
• 役員の責任限定条項
• 種類株式の発行に関する規定

 

これらの独自条項を検討することで、より柔軟な会社運営や将来のリスク管理が可能になります。ただし、独自条項の追加は法的な知識が必要なため、専門家に相談することをおすすめします。

 

定款における独自条項の詳細については、以下のリンクが参考になります。

 

法務省：定款の認証について

法人設立の定款の記載事項

 

定款には、会社の基本情報から組織設計、運営ルールまで、様々な事項を記載します。主な記載事項は以下の通りです：

法人設立の定款における絶対的記載事項

絶対的記載事項は、定款に必ず記載しなければならない事項です。主な項目は：

1. 商号（会社名）
2. 事業目的
3. 本店所在地
4. 設立時の出資金額または最低額
5. 発起人の氏名・住所
6. 発行可能株式総数

 

これらの項目が欠けると、定款自体が無効となる可能性があるため、注意が必要です。

法人設立の定款における相対的記載事項

相対的記載事項は、記載しないとその効力が生じない事項です。主な項目には：

• 株式譲渡制限に関する規定
• 株主総会の招集手続きの簡略化
• 取締役会の決議の省略
• 監査役の設置

 

これらの項目は、会社の運営方針や将来の展望に応じて、必要に応じて記載します。

法人設立の定款における任意的記載事項

任意的記載事項は、会社が自由に定められる事項です。例えば：

• 事業年度の設定
• 配当の基準日
• 株主総会の議長
• 役員の報酬

 

これらの項目は、会社の特性や経営方針に応じて自由に定めることができます。ただし、法令や公序良俗に反する内容は記載できません。

法人設立の定款における事業目的の記載方法

事業目的の記載は、定款作成において特に重要です。以下のポイントに注意して記載しましょう：

1. 具体的かつ明確に記載する
2. 将来の事業展開も考慮する
3. 関連する付随業務も含める
4. 法令で許可が必要な事業は注意が必要

 

事業目的の記載例：

1. コンピューターソフトウェアの開発及び販売
2. インターネットを利用した各種情報提供サービス
3. 前各号に付帯する一切の事業

 

事業目的の詳細な記載方法については、以下のYouTube動画が参考になります。

 

YouTube: 法人設立時の事業目的の書き方講座

法人設立の定款における機関設計の選択

機関設計は、会社の意思決定や業務執行、監督の仕組みを定めるものです。主な選択肢は：

1. 取締役会設置会社
2. 取締役会非設置会社
3. 監査役設置会社
4. 委員会設置会社

 

機関設計の選択は、会社の規模や事業内容、将来の上場計画などを考慮して決定します。例えば、小規模な会社では取締役会非設置会社を選択し、将来の上場を目指す場合は取締役会設置会社を選択することが多いです。

 

機関設計の選択によって、定款に記載すべき事項が変わってくるため、慎重に検討する必要があります。

法人設立の定款作成のポイント

 

定款作成は法人設立の重要なステップです。以下のポイントに注意して作成しましょう。

法人設立の定款作成における業界特有の規定

業界によっては、定款に特有の規定を盛り込む必要があります。例えば：

• 金融業：反社会的勢力排除条項
• 医療法人：医療の非営利性に関する規定
• IT企業：知的財産権の取り扱いに関する規定

 

業界特有の規定については、所管官庁や業界団体のガイドラインを確認することをおすすめします。

法人設立の定款作成における将来の事業展開の考慮

将来の事業展開を見据えて、以下の点を考慮しましょう：

1. 事業目的の幅広い設定
2. 機関設計の柔軟性
3. 資金調達手段の確保（種類株式の発行など）
4. 株式譲渡制限の設定

 

将来の事業拡大や上場を視野に入れた定款作成が重要です。

法人設立の定款作成におけるコンプライアンス対応

コンプライアンス対応として、以下の点に注意が必要です：

• 反社会的勢力排除条項の記載
• 個人情報保護に関する規定
• 内部統制システムの整備に関する規定

 

これらの規定を盛り込むことで、会社の社会的信頼性を高めることができます。

法人設立の定款作成における専門家のサポート活用

定款作成は専門的な知識が必要なため、以下の専門家のサポートを活用することをおすすめします：

1. 司法書士：法的要件の確認
2. 税理士：税務面でのアドバイス
3. 公認会計士：財務面での助言
4. 弁護士：法的リスクの確認

 

専門家のサポートを受けることで、法的リスクを最小限に抑え、より適切な定款を作成すること