フィリピン 法人設立の手順と必要書類

フィリピン 法人設立の手順と必要書類

フィリピン 法人設立の概要

フィリピン法人設立の主なポイント
🏢
現地法人の設立

フィリピン法に基づく独立した法人格を持つ

📄
必要書類の準備

定款、登記簿謄本、パスポートコピーなど

💼
SEC登録

証券取引委員会での登録手続きが必要

フィリピン 法人設立の手順概要

フィリピンで法人を設立する際の基本的な手順は以下の通りです:

  1. 会社名の確認と予約
  2. 必要書類の準備
  3. 資本金の払い込み
  4. SEC(証券取引委員会)への登録申請
  5. 登録証明書の取得
  6. その他の許認可取得(必要に応じて)

 

これらの手順を順番に進めていくことで、フィリピンでの法人設立が可能となります。ただし、各ステップにおいて細かな要件や注意点があるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

フィリピン 法人設立に必要な書類

フィリピンで法人を設立する際に必要な主な書類は以下の通りです:

  • 会社名予約証明書
  • 定款(Articles of Incorporation)
  • 付属定款(By-laws)
  • 役員のパスポートコピー
  • 親会社の登記簿謄本(英訳したもの)
  • 親会社の定款コピー(英訳したもの)
  • 資本金払込証明書
  • 役員の納税者番号(TIN)

 

これらの書類を準備する際は、英語での作成や公証が必要な場合があるため、注意が必要です。

フィリピン 法人設立の資本金要件

フィリピンでの法人設立には、最低資本金の要件があります。一般的な要件は以下の通りです:

  • 国内市場向け企業:20万ドル以上
  • 先端技術を使用する、または50人以上を直接雇用する企業:10万ドル以上
  • 輸出型企業:5,000ペソ(約1万2,300円)以上

 

ただし、実際には輸出型企業でも20万ペソ(約50万円)程度の資本金が必要とされることが多いです。

フィリピン 法人設立におけるSEC登録の重要性

SEC(Securities and Exchange Commission:証券取引委員会)への登録は、フィリピンでの法人設立において非常に重要なステップです。SECは法人の管理・監督を行う機関であり、ここでの登録が法人としての正式な認可となります。

 

SEC登録の主な手順は以下の通りです:

  1. 必要書類の提出
  2. 申請書類の審査
  3. 登録料の支払い
  4. 登録証明書の発行

 

SEC登録には通常1〜2週間程度かかりますが、書類に不備がある場合はさらに時間がかかる可能性があります。

フィリピン 法人設立後の税務上の注意点

フィリピンで法人を設立した後は、適切な税務管理が重要です。主な注意点は以下の通りです:

  • 法人所得税:通常25%(一部の小規模企業は20%)
  • 付加価値税(VAT):12%
  • 最低法人所得税(MCIT):売上総利益の2%
  • 源泉税:配当金、利子、ロイヤリティなどに対して適用

 

特に、最低法人所得税(MCIT)は日本にはない制度であり、注意が必要です。これは、法人の課税所得が少なくても、最低でも売上総利益の2%を納税する必要がある制度です。

 

フィリピンの税制は複雑で頻繁に変更されるため、現地の税務専門家に相談することをおすすめします。

 

JETROのフィリピン税制概要ページ:フィリピンの税制について詳しく解説されています。

 

以上が、フィリピンでの法人設立に関する主要なポイントです。法人設立は複雑なプロセスであり、現地の法律や規制に精通していない場合は、専門家のサポートを受けることが賢明です。また、フィリピンの経済特区(PEZA)に登録することで、様々な優遇措置を受けられる可能性もあるため、事業計画に応じて検討するとよいでしょう。

 

フィリピンは急成長する経済と若い労働力を持つ魅力的な市場ですが、文化の違いや法的な複雑さもあります。十分な準備と現地の状況への理解を深めることで、フィリピンでのビジネス展開を成功させることができるでしょう。

フィリピン 法人設立の具体的な手順

フィリピンでの法人設立は、以下の具体的な手順で進めていきます。各ステップを丁寧に進めることで、スムーズな法人設立が可能となります。

フィリピン 法人設立の会社名選定と予約

法人設立の最初のステップは、会社名の選定と予約です。以下の点に注意しましょう:

  1. フィリピン語または英語で会社名を決定
  2. SECのウェブサイトで類似名称の有無を確認
  3. SECオフィスで会社名予約申請を行う(有効期間は30日)

 

会社名には制限があり、既存の会社名や商標と類似していないこと、公序良俗に反しないことなどが求められます。

フィリピン 法人設立の定款作成と発起人の決定

会社名が決まったら、次は定款(Articles of Incorporation)の作成と発起人の決定を行います。

 

定款に記載する主な項目:

  • 会社名
  • 事業目的
  • 本社所在地
  • 存続期間(通常は50年)
  • 発起人の情報
  • 取締役の人数と名前
  • 資本金額

 

発起人に関する注意点:

  • 最低5名、最大15名が必要
  • 過半数はフィリピン在住者であること
  • 各発起人は最低1株以上を保有すること

フィリピン 法人設立の資本金払込と銀行口座開設

定款が作成できたら、資本金の払い込みを行います。以下の手順で進めます:

  1. フィリピンの銀行で法人名義の口座を開設
  2. 定款に記載した資本金額を払い込む
  3. 銀行から資本金払込証明書を取得

 

注意点:

  • 外貨での払い込みの場合、中央銀行の許可が必要
  • 払込資本金は最低でも授権資本金の25%以上であること

フィリピン 法人設立のSEC登録手続き

準備が整ったら、いよいよSECでの登録手続きを行います。

 

SECへの提出書類:

  • 会社名予約証明書
  • 定款(5部)
  • 付属定款(4部)
  • 資本金払込証明書
  • 発起人のパスポートコピー
  • 外国企業の場合は追加書類(親会社の登記簿謄本など)

 

SECでの手続きの流れ:

  1. 書類提出
  2. SECの担当弁護士による書類チェック
  3. 登録料の支払い
  4. 登録証明書の発行(通常2週間程度)

フィリピン 法人設立後の追加手続きと許認可取得

SEC登録が完了しても、まだいくつかの手続きが残っています。

  1. 市役所やバランガイ(地域コミュニティ)での事業許可取得
  2. BIR(内国歳入局)での納税者番号(TIN)取得
  3. SSS(社会保障システム)、PhilHealth(健康保険)、Pag-IBIG(住宅開発共済基金)への登録
  4. 必要に応じて特別許認可の取得(例:PEZA登録など)

 

これらの手続きは、事業開始前に必ず完了させる必要があります。

 

フィリピン法人設立の実際の流れを解説したYouTube動画:現地の状況がよくわかります。

 

フィリピンでの法人設立は、一見複雑に見えるかもしれませんが、各ステップを着実に進めていけば、決して難しいものではありません。ただし、言語の壁や現地の商慣習の違いなどがあるため、初めての場合は現地の専門家(弁護士や会計士)のサポートを受けることをおすすめします。

 

また、フィリピンでは法改正が頻繁に行われるため、常に最新の情報を確認することが重要です。例えば、2019年の改正会社法により、最低資本金要件や取締役の人数要件が緩和されるなど、大きな変更が行われました。

 

フィリピンは、若い労働力と成長する経済を持つ魅力的な市場です。適切な準備と現地の状況への理解を深めることで、フィリピンでのビジネス展開を成功させることができるでしょう。

フィリピン 法人設立の注意点とメリット

フィリピンでの法人設立には、いくつかの注意点とメリットがあります。これらを十分に理解することで、より戦略的な事業展開が可能となります。

フィリピン 法人設立における外資規制の注意点

フィリピンでは、特定の業種において外資規制が存在します。主な規制は以下の通りです:

  • 完全禁止:マスメディア、小規模小売業など
  • 外資上限40%:公共事業、教育機関の所有・運営など
  • 外資上限30%:広告業
  • 外資上限25%:民間人材紹介業

 

ただし、輸出型企業や先端技術を使用する企業については、100%外資での設立が可能な場合があります。

フィリピン 法人設立のコストと期間

法人設立にかかる主なコストと期間は以下の通りです:

 

コスト:

  • SEC登録費用:約2万〜5万ペソ(資本金額により変動)
  • 弁護士・会計士費用:10万〜30万ペソ程度
  • その他諸経費:5万〜10万ペソ程度

 

期間:

  • 準備期間:2〜4週間
  • SEC登録:1〜2週間
  • その他許認可取得:2〜4週間

 

合計で1〜2ヶ月程度かかることが一般的です。

フィリピン 法人設立のメリットと優遇措置

フィリピンで法人を設立するメリットには以下のようなものがあります:

  1. 成長する国内市場へのアクセス
  2. 豊富で比較的安価な労働力
  3. 英語が通じるビジネス環境
  4. 地理的に日本に近い

 

また、PEZA(フィリピン経済特区庁)登録企業には以下のような優遇措置があります:

  • 法人所得税の免除(最大8年間)
  • 輸入関税の免除
  • 簡素化された通関手続き
  • 外国人労働者の雇用に関する規制緩和

 

フィリピン 法人設